全体的な話(勉強の仕方や演習問題について)

法学の勉強の流れとしては、自分は基礎になる体系を理解した上で、それに枝葉となるような知識をつけていくようなイメージでやっていました。細かい知識を覚えることは後回しにし、超基礎的なところを固め、その上で一つ一つのシステムの設定を見ていくというか。たとえば、民法で言うなら、民法は総則、物権法、債権法、契約法、不法行為法等、親族法、相続法くらいに分けられますが、総則は全部に適用される一般法、物権法は人と物の関係を、債権法は人と人との関係を、契約法は債権債務関係を発生させるシステムを、不法行為法等は契約関係にない人同士での債権債務関係を発生させるシステムを規定しているということになります。そして、それらは当事者の意思によって使われる道具であるわけです。ですから、当事者の達成したい目的によって使う手段が決まり、違う法に分類されるシステムが同時に使われることもあるわけです(物権である抵当権と契約である人的保証だとか、不法行為安全配慮義務)。また、それが許容されるのは契約自由の原則があるからです。このような関係を理解した上で、それぞれのシステム、つまり物権の中の所有権やら占有権やらなんやらをマスターしていく。そしてその中でも原理原則は何で、例外はなんなのかということを考えていく。とまあこうやって書くと当たり前なんですが、自分の場合そういった体系を頭の中に作るのに時間がかかり、なかなか勉強がはかどらないといったことがあったので一応。

あと、もう一つには、知識の暗記というスタンスではなく、自分の思考方法に法学のロジックを入れていくというスタンスを取っていました。つまり、自然に問題へ取り組めるというか…説明しづらいんですけど。最初は自分自身が法学に染まってしまうので抵抗があったのですが、それは専門家になるためだから仕方がないとあきらめましたw

具体的な試験対策の勉強としては、①教科書や授業でおおよその体系や知識をつける(できればノートも作る)②基本書や判例集で細部(学説の対立や制度の詳細、判例の展開)をつかむ③問題で演習するという流れでやってました。自分の場合、真面目に勉強を始めたといえるのは、四年の六月くらいからで、大学の授業にまったく出ていなかったため、①の段階でめちゃ大変だったのですが、ちゃんと授業に出ていれば、①の段階は大丈夫だと思います。②と③は並行してやっていいと思います。

また、③については、慣れる為にも具体的に答案を各作業というのはある程度こなした方がいいでしょう。表現や順序などに慣れるだけで書くスピードが1.5倍くらいになります(去年と今年の答案で書いた量の比較ですけど)。慣れたら荒い構成で済ませてもいいかもしれません。また、問題としては、ロースクールの私大過去問か、旧司法試験の過去問がいいかと思います。自分の印象としては、難易度は明治中央<上智北大慶応京都<旧司法試験・東大っていったところです。明治中央は基本的な論点を問う問題が多く、上智は若干マニアックなことも問うといったところ。そして、北大京都は悩ませる問題、慶応は上智と北大京都の間といったところでしょうか。次に、旧司法試験は憲民刑がやたらめったら難しいです。商訴訟は割とやさしめ。ただし民訴の第一問は悩みます。最後に東大ローはなんともいえないといったところでしょうか…一見簡単と言われていても、学生側が出題者側の意図に全然気づけていない場合が多いのでなんともいえません。