リーガルクエスト会社法&刑法各論

最近創刊されたリーガルクエスト(略称リークエ)ですが、受験対策として、知識をおさらいするために使ってみました。それぞれ一回しか読んでませんが。

会社法 (LEGAL QUEST)

会社法 (LEGAL QUEST)

神本。難易度も教科書としてちょうどいい。従来のものとくらべると、Sシリーズより踏み込んでおり、少なくとも受験に必要な知識は全て拾ってあるイメージ。これと判例百選、重判、そして場合によっては江頭会社法を辞書的に使えば会社法の知識は十分だと思います。


刑法各論 (LEGAL QUEST)

刑法各論 (LEGAL QUEST)

一方刑法各論、微妙。読み終わってから後悔したところがないでもない。これなら今まで使い続けてきた西田先生か山口先生の刑法各論でよかったのではないか…という感想。
というのも、はっきり言ってしまうと、小林先生の記述が教科書という感じでなく、しかも文章も決してわかりやすいとは言えない。他の先生方のはすらすら読め、特に橋爪先生の担当された部分は神がかっていたけれども、小林先生の箇所は、時々止まってしまった。私が刑法嫌いなのでその実力がどうかはおいておくとしても、少なくとも初習者ではない*1はずだから、その自分が読み進めるにあたって時々頭を悩ますというのは、記述がわかりにくいのではないかという気がします。これって要するに「俺が読めないんだから記述がわかりにくいに違いない」ってことなので、書いてても気持ち悪いんですが、そう思ってしまいます*2
それ以外の箇所はおおむね読みやすく、通説判例及び反対説を綺麗にまとめてくださってて、刑法の教科書特有のうざったい教科書引用*3がなく、その一方で最近の説も重要なものは載せてくださっているよう*4なので、バランスが取れています。
とはいえ、上の難点と、結局四百ページ余りになっていることからすれば、西田先生か山口先生の各論の読みやすい方を読めばいいんじゃないかという気がしました。個人的には西田先生がお薦めですが、東大ではやはり西田先生が退官されたからか、圧倒的に山口先生(一冊版も含む)を使っている人が多いようです。

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*1:西田刑法各論を二十回くらいは読んでいるし、リークエの各論で初見という論点は一つもなかった

*2:というのも、以前法学教室で西田先生監修、島田、小林先生連載の刑法演習があったのですが、小林先生の解説はやはり難解だったという経験もありまして…

*3:刑法におけるこの引用の有用性を感じたことがあまりない。自分のお気に入りの先生が出てきたらテンションあがるくらいだけど、お気に入りが大抵いわゆる行為無価値の先生なので、フルボッコにされてることが多いw

*4:と言えるほど学説に詳しくはないので、何となくそんな気がするという程度ですが…