「民事訴訟法の基礎」(岡伸浩)

民事訴訟法の基礎

民事訴訟法の基礎

基本書と帯に銘打たれているが、教科書。言ってみれば、質の高い予備校本。少なくとも下手な予備校本読むよりはいいし、司法試験はおそらくこの本と百選で乗り切れる。そういった意味では大変使い勝手のいい本で、受験生目線では買う価値がある。
ただし、学説の「深みに嵌る」ことは一切できないので、そこに価値を感じる人たちには向かない(それどころか、著者の「検討」部分には疑問点を感じることすらある)。そういった人たちは重点講義あたりを読むのが良いと思う。なお、自分は、思考力を鍛錬し、問題解決能力を高めるためには深みに嵌ることが有用だと思っているので、時間的に余裕のあるロー一二年生は、こういった「わかりやすい」本だけではなく、大変だろうけれど重点講義や各種論文にかじりつくのが良いのではないかと感じる。とはいえ、民事訴訟法は基礎を掴むのが大変なので、いずれにせよイントロとしてはいい本ということになるか。