司法修習生給費制打ち切りについて

修習生の給費制打ち切り=11月から貸与制―政府

時事通信 8月4日(木)12時27分配信
 政府は4日午前、法曹養成改革に関する関係省庁副大臣らの検討会議を法務省で開き、司法修習生に月額約20万円を支払う「給費制」を打ち切り、11月から無利子の「貸与制」に移行する方針を確認した。また、奨学金返済を抱える低所得者の負担軽減策を講じることでも一致した。8月末に同会議を開き、正式に決定する。

これに関して、先月行われた「法曹の養成に関するフォーラム」第3回会議というので議論が出ています。
※議事録:http://www.moj.go.jp/content/000077726.pdf

この議論は某巨大掲示板的な表現によるならば「17頁の井上委員発言で終わってた」ということになると思います。もちろん、このご発言も、突っ込みどころはそれなりにありますが、それは置いておきます。

この会議では、新62期について所得400万円未満30%弱だとか、6割近くの法科大学院卒業生が何らかの形で多額の負債を抱えているとかいうことが問題になっていますが、正直、何を今さら議論しているのだろう、という印象です。

これらの議論について、自分の結論は一年前にまとめたもの*1とたいして変わっていませんので結論部分だけ引用します。結論に至るまでとか、自分の懐具合wに興味のある方は本文をご覧ください。


結論としては、法律家の質を高めるための志望者増加には、就職難対策が最優先されるべきだということです。そのためには、就職口を増やすこと(法曹資格者の有用性アピール)、競争緩和のため合格者を削減すること、その一方で合格率を上げるために法科大学院卒業生の数を減らす(個人的には下位ローを減らすだけでなく、首都圏の上位ローの定員削減も検討すべきだと思っています)ということが必要でしょう。もちろんそんなドラスティックなことを実現するには、政治家の介入が必要でしょうが、政治家にそこまでのモチベーションがあるか疑問があるので、なかなか難しいでしょうが、もうじき法科大学院を卒業する自分の感想としてはそういったところです。

追記。
以下のような記事が出ています*2。やはりこれが問題の本質でしょう。そうすると、現状改善の二案のうち、井上委員の仰っている合格者増(してあとは知らん顔)よりも、ローの定員を減らすという、ローに負担を強いる方が筋だと思います。

司法修習生の43%「就職未定」=過去最悪、不況など影響―日弁連

時事通信 8月3日(水)18時34分配信
 日弁連は3日、2010年の新司法試験に合格した司法修習生のうち過去最多の43%が、7月時点で「就職先が未定」と回答したとする調査結果を公表した。
 調査は日弁連が修習生に対しメールを送るなどの方法で3月から毎月実施。7月の調査では、2022人の修習生のうち913人(45%)が回答した。
 同様の調査は4年前から実施しており、7月時点の未定率は8%、17%、24%、35%と年々悪化していた。 


222411