酔いどれ天使
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2010/02/19
- メディア: Blu-ray
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黒澤明監督の代表作と言われる「酔いどれ天使」を観終えた。
途中まではそうでもなかったのだが、最後の30分はずっとクライマックスで息つく暇もない怒涛の展開で、ぐっと来る。黒澤監督の映画はおそらく6本目*1くらいだけど、彼の映画は、相変わらずエンターテインメント性が十分に詰められているのみならず、人間に対する深い洞察に基づく価値観が打ち出され、観る者に様々な問いを投げかける。
本作最後のシーンの、「先生、理性さえしっかりしていれば結核なんてちっとも怖くないのね」「結核だけじゃないよ、人間に一番必要な薬は理性なんだよ!」という言葉は、それだけ取り出すと名言とまでは言いにくいかもしれないが、全篇を観ての締めとしては、最高の名言。
音楽も凝っていて、クラブの中で歌う笠置シズ子の存在感も尋常ではないのだが、歌っているのは黒澤監督作詞の歌だったり、三船が死ぬシーンでは、それなのにアップテンポと言うか、アゲアゲな音楽が流れて逆にクライマックス感が強調されたりと、センスも凄まじく素晴らしい。
本作は、三船敏郎が主役の志村を喰った作品と言われるが、どうしてどうして、志村も三船に負けない演技力を発揮している。
なお、今の我々が見れば、戦争直後の日本社会の様子を知ることもできる。結核が凄まじく恐ろしい病気だったと言うのは、知識として知ってはいたとしても、映像で疑似体験することで、リアルなものとして感じることができる。
しかし、このままいくと黒澤監督の映画を全部見る勢いやな…
最近の映画でぐっときた映画ってあまり記憶にないのだが、黒澤監督との違いは何なんだろうか。
ここまでエンターテインメント性と哲学性を両立させられる映画があるというのは、黒澤監督を見て初めて知った。
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