悪い奴ほどよく眠る

悪い奴ほどよく眠る [Blu-ray]

悪い奴ほどよく眠る [Blu-ray]

1960年公開・黒澤明監督

いつもの黒澤映画タイムです。今回は「悪い奴ほどよく眠る」、とても面白かったです。「悪い」とはどういうことかを、様々な立場の人間に語らせ、複数の視点より見させて問う。そしてそれを一番考えさせるのが三船演じる西。2時間半と言う長い上映時間でも一気に見てしまうようなエンターテインメント性は相変わらずです。

そして、この映画で三船敏郎の凄さがやっとわかった気がしました。三船といえば、「七人の侍」や「酔いどれ天使」の豪快なキャラクターのイメージで、性格俳優のように思っていたのですが、今作では、悪を討つために悪に徹せねばならないことに苦悩し、さらに悪に徹する難しさにもがき苦しむと知的なキャラクターいう難しい役どころをしっかり演じきっています。

また、最後のオチが秀逸です。本作では、最も悪い奴は姿を現さないわけですが、タイトルを最後のオチできっちり表現しきっているのが、ちょっとわざとらしくはありますが素晴らしい。
なお、本作は、「巨悪を眠らせるな!」というジャーナリスト用語を生み、「これでいいのだ!」というバカボン用語を生んだと言われている名作です。

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