修習にて思うこと(2)―修習に入るまでと、修習の流れ

今回は、修習って何やってるの?というのを書きます。


一 修習に入るまで
1 おおまかな流れ
5月に司法試験受験、6月に短答式合格発表、9月に最終合格発表、11月末に修習開始です。
その間、6月〜9月くらいまで一部の受験生は就職活動、11月に修習地に移動、という流れです。海外旅行行ったりする人は、9月の合格発表前後くらいに行くようです。


2 合格後の手続
(1)修習地の志望等について
司法試験の最終合格発表自体は、九月の上旬くらいに行われ、ウェブ上や法務省掲示板にて合格者の番号が掲示されます。その後、割とすぐ、確か合格発表から10日後締め切りくらい、に修習に入るための手続きをしなければならず、合格の喜びの余韻に浸る時間は意外とありません。

その手続では、色んな書類が要求されますが、合格者の間で一番話題になるのはもちろん、修習地の志望です。修習地として選択できるのは都府県庁所在地+旭川、釧路、函館、立川です。合格者はめいめい、志望する土地を6カ所書きますが、志望には制限があります。志望地は三つのグループに分けられており、それぞれについて志望に挙げられる数が限られているのです。これは、就活状況が厳しい今、やはり需要が大きい東京、大阪、名古屋といった大都市圏を志望する人が多いので、それを調整する為のようです。とはいえ、何だかんだ言いながら、かなりの割合で志望通りになるようではあります。なお、不人気とされる土地を高い順位で志望すると、一発でそこになるという噂もありましたが、私はそのような土地を第二志望にしてたのにそうはなりませんでしたので、必ずしもそんなことはないようです。

ここで、修習地の選択について一つアドバイスしますと、就職活動のことを考えたら大都市圏ないしその周辺がいいでしょう。ですから、東京大阪等を書き、さらにはその周辺の北関東、或いは滋賀や奈良を書くというのが鉄板になります。しかし、何しろそのあたりは志望者が多いので、それ以外の土地になる可能性も否定できません。特に、大都市圏とアクセスが悪いエリアになると、大都市圏での就活は事実上断念せざるをえなくなることもあるでしょう。また、大都市圏へ出向いての就活が難しいというだけではなく、弁護士会に入り込むハードルも、修習地のほうが低いですし、修習地には当然その土地で修習した先生が多いので、就活も多少はやりやすいという点も指摘できます。そうすると、修習地での就職が現実的にありえるのだということは前提にした方がいいかと思います。つまり、修習地の選択には、今後しばらくはそこで働く可能性もあるのだということを前提にする必要があるということです。
特に、私などは、住む場所に拘りがなく、むしろ大都市圏には住みたくない人間ですので、別にどこでもよかったのですが、そういう人は思いのほか少ないようですので、気をつけてください。


(2)白表紙・課題到着
10月後半くらいには、各修習地が決定して通知されるとともに、白表紙という修習で使う教材、そして修習始まる前に提出しなければならない課題が段ボールに入れて送られてきます*1
この課題については、正直どう書けばいいのかわからないという印象が一番強いものですが、それなりに時間はかかるので、なるべく早めに手をつけることをお薦めします。そうしないと、私のように締め切りに間に合わないから海外旅行に課題を持っていくなんてことになりかねません。なお、修習における科目についてですが、民裁、刑裁、検察、民事弁護、刑事弁護の5科目とされています。


(3)修習地におけるガイダンス
11月に入ると、各地で修習ガイダンスというのが開催されます。これは、裁判所、検察庁弁護士会が、同じ日に、それぞれ修習のイメージをつかんでもらうためのガイダンスを開催してくださるという企画です。交通費が出ないのが痛すぎたりするわけですが、何でも質問できますし、修習のイメージを作るには最高の企画なので、なるべく参加する方がいいでしょう。なお、私の修習地では参加率は90パーセントを超えていました。
特に、修習地にて家を借りて住むというつもりの方は、この期間に二泊くらいして家を決めてしまうというのもいいかもしれません。ちなみに、現在修習は期間が以前に比べ短く、間に集合修習が入ることで空家期間が生まれると言うこともあって、修習生の間ではレオパレスを利用する人も多いです。

そして、11月末から修習地において修習開始ということになります。
新生活では色々とやることも多いので、なるべく余裕を持って修習地に入っておくのがいいでしょう。


3 修習前にやっておいたほうがいいこと
(1)旅行等まとまった時間が必要なこと
修習が始まると、当然ですが社会人ですのでまとまって使える時間は減ります。そして、修習が終われば働き始めるわけですので、修習が始まると基本的にそういった時間が取れることは少なくなります。逆に、修習開始前と言うのは時間がかなりあるわけですから、その期間に旅行などをしておくのがよいかと思います。


(2)修習生の先輩の話を聞いておくこと
修習の話にとどまらず、生活面や就活の話など、時間があるうちに聞いておきましょう。それこそ、地方で修習をしている先輩に旅行がてら会いに行くというのもいいかもしれません。特に、一期上の先輩は、一番新しい情報を持っている訳ですから、話を聞いて損はありません。相手が忙しくても、こちらは時間があるので、相手に合わせやすいという利点があるこの期間を有効活用しましょう。


(3)お勉強
これは修習開始前に私が一番怠っていて、開始後、特に裁判修習入って一番後悔した点です。修習中も時間はそれなりにあるので、勉強自体はできるのですが、知識を前提にして実務を見るのと、実務をしながら知識を同時につけて行くのでは、吸収の程度が全然違います。修習というのは、その時期しかできない貴重な体験なので、そこで吸収できたはずのことをできなかったというのは非常にもったいない訳です。また、当然ですが司法試験をパスしてきた人たちは法律についてよく勉強している訳ですから、負けないように頑張りましょう。当たり前すぎてなんでわざわざ書くの?と思うかもしれませんが、周りが法律できすぎて死にたくなることが割とよくあるのが修習です。

では、具体的に何をしたらいいのかということですが、白表紙が到着すると、それを見て大事そうなのから読んでいけばいいということになります。なお、そこで注意すべきことですが、修習開始前にすべきは実務のための対策ですので、今までの論点中心の勉強よりも、判例(が何を言っているか)、裁判手続の概要や要件事実の復習が中心となるかと思います。

以下は白表紙を受け取る前の勉強についてですが、判例については、百選の要旨をざっと見て、○○についての判例は何ですかと言われたら概要が頭に浮かぶようにしておくのがいいでしょう。また、手続の勉強には、一審手続きの解説を使い、手続の順序をきちっと頭に叩き込んでおきましょう。要件事実については、類型別が基本となりますが、岡口基一先生の問題集なりマニュアルなりを買って眺めておくというのもいいかもしれません。


二 修習入ってからの流れ
1 大まかな流れ
修習開始後は、8カ月の修習地での実務修習、2カ月の和光での集合修習、2カ月の修習地での選択修習、二回試験という流れで、合計一年の修習が行われます。なお、集合修習と選択修習は、修習地によって順序が前後します。先に、集合修習の関係で空家という話は、集合修習が先に来る修習地の人の話です。


2 実務修習
8カ月を2カ月ごとのクールに分けて、民事裁判、刑事裁判、検察、弁護の修習を行います。裁判については裁判所、検察については検察庁、弁護については弁護士事務所で修習することとなります。弁護士事務所については、修習地の弁護士会が協力してくださる事務所にそれぞれ修習生を割り当てられるという形、つまり、修習生の視点からすると、修習地に行くとわかるという形になっています。
また、同一地で修習する修習生はそれぞれ複数の班に分けられ、各班ごとに修習先を回ります。たとえば、修習地Aの修習生が4班に分けられた場合、第一クールにおいて、1班は民裁、2班は刑裁、3班4班は検察とかいったようになっています。つまり、どのクールにどの修習が来るかは、修習生によって異なるということです。


3 集合修習
まだ行っていないのでわかりませんが、基本的に起案をし、研修所教官の講義を受けるという修習です。


4 選択修習
選択修習では、修習地で用意された複数のプログラムから自由にプログラムを選択して修習します。また、修習地で用意されるもの以外にも、全国プログラムと言って、全修習生に提供される、全国各地で修習するという短期間(1〜2週間)のプログラムがあります。その他、自己開拓プログラムといって、自分で修習先を開拓、つまりお願いして受け入れてもらう修習と言うのもあります。この期間、プログラムの合間は弁護修習先の事務所で修習することになります。
まだ行っていないのでわかりませんが、多くの修習生は修習地のプログラムを選択し、全国プログラムは一部の修習生が、自己開拓は更に少ない修習生が選択する、という印象です。


5 2回試験
まだ考えたくない。


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*1:どうでもいい話ですが、私はこの頃リトアニアにいたので、これを見た訳では無く、親からのメールで知りましたw