アンサー

先日の記事*1ですが、ツイッター上でそれなりにRTされ、それに伴いいくつかご批判を頂戴したので、それを受けての記事です。タイトルから明らかなとおり、読んでも何も得られるものはありません。

ご批判としてはだいたいこんな感じでした。
・根性で乗り切れと言うのは将来予測が甘い。年収額を減るリスクを具体的に考えていない。精神論で何とかなると言うのであれば、弁護士は収入のことを考えずに働けと言っている一般の批判と変わらない
・来年の今頃収支を出したら青ざめるかもしれない、五年後だからと貸与金の負担の重さを理解していないのではないか
・普通の人ができないような努力をして成功した人をもって制度を語るのは間違っている

まず、一点目について。
前回の私の記事は、私個人のこの一年の収支を公開し、(来年以降ではなく)修習中はそう生活はきつくなかった。また、家庭をもっていて他に収入がないといった事情がない限りは、懇親会に参加できないくらい金がカツカツであるとは考えにくいという趣旨でした。
それゆえ、私は一点目のご批判が当初何の話をされているのかわからなかったのですが、どうやらこの部分、特に太字部分についてのようです。

つまり、私含めておそらく修習生の最大の悩みは、将来が以前に比べて見えにくいということだと思います。この結論が、二年前の記事に書いたのと全く同じというのが非常に残念なのですが*16…今の時点で私自身は、将来が見えようが見えまいが、この道を選んだ以上は努力して食っていくしかないと割り切り、或いは食っていけると信じています。しかし、多くの修習生の現状認識は、今後は食っていけるかどうかも分からないし、少なくとも法曹が昔みたいにいい生活ができる保証は全くないから困ったもんだ、という感じでしょう。そういった状態における修習生の悩みの象徴がある意味貸与制なのかなあという印象はあります。

確かに、太字部分のみ読めば、何も考えずに「がんばればなんとかなるっしょ」ぐらいの軽いノリの記事に読めますね。そして、私がそういう軽いノリの人間だというのを前提にして上の記事を読めば、何も考えていない人だというように読めるんでしょう。

おそらく、二点目のご批判もそういう印象を受けてのものでしょう。

確かにそう読める記事を書いた私は下手でした。
しかし、上の批判をされたのは私と実際に付き合いがあるわけではありません。また、私は、私の内定先や来年以降の収入、借金の弁済期、資産の有無、考え或いは実行しているリスクヘッジなどについて何も明らかにしていません*2。したがって、批判された方々は、それらを踏まえずに批判されているわけです。やはりそれは前提となる事実をきちんと確認せずにされていると言わざるを得ないのではないでしょうか。

また、蛇足ですが、一点目について、私は「一般の批判」と書いていますが、当初投稿は、「パンピー」となっていました。私はその人の社会的地位からしてそのような用語を使うのは絶対にやめるべきだと思いましたね。一般的に、まだまだ我々の業界というのは特権階級と思われがちなので、そういう言葉には気を付けた方がいいでしょう。

あと、精神論というのも大事だと思いますね。たとえば、就活とかかなり心が折れそうになりますので、気持ちを強く持って、それこそ上のような何とかなると思ってないと乗り切れません。つまり、情を以て理を枉げるのは愚、理を以て情を制さんとするのは鈍。私は、理屈無き・方法論無き精神論が大っ嫌いですが、理屈と方法論ばかりで精神論がないのも大っ嫌いです。

そして、三点目ですが、これと上の二点が並んだのも面白いなあと思いました。
上の二点はどっちかというと私のことを先を考えていないアホ*3と評価されていると思われますが、三点目の方は、私が超人的な努力をした成功者だと評価されているわけです。読み手によって全然違う評価をするもんですね。

さて、ここでいう「超人的な努力をした成功者」というのは評価ですので、自分がそれにあたるかどうかなんてわかりません。自分の認識としては、超人的な努力はしていないし、自分が成功者だと思ったことはありません。そもそも法曹界にこの時期に入る時点で(ry
また、私のことを一番見ている人は、司法試験前の様子を見て今年はだめだろうと思っていたそうですし、私自身へたれで、一日8時間勉強するともうしんどいような感じですから、この業界の人間としては努力量は並みでしょう。

こんな評価の話をだらだら書いても仕方ないのですが、ここで私が言いたいのは二点。
一点目は、上に書いたのと同じで、私のことを大して知りもしないのに超人的とよく書けるなあということ。もう一点は、貸与制についての議論をしているのに、勤務開始までに修習生平均を超える負債を負っている私が「超人的な努力をした成功者」としてハブられるんだwということ。私は別に一年目から1千万もらうような事務所に行くわけでもなければ、先行きも必ずしも明るくないんですけどね。だからこそいろんなリスクヘッジをしているわけですが。批判されている方は、きつい境遇の人だけを見て貸与制を語るのでしょうか?

*1:http://d.hatena.ne.jp/he_knows_my_name/20121116

*2:さすがにこういうことはブログに書きたくないw

*3:残念ながらそれはあながち間違っていないけども。