愛国心という魔法

この魔法、たとえるならFFのバーサクみたいな感じだと思うのですが、中国ではこの魔法を使うのに苦労しているようです。
今日見つけたのは、中国というのは統治がとっても大変なんだなあということをつくづく感じさせられる記事です。

                    世界上根本没有“日货”?

苹果是美国品牌,但大量产品在中国生产,显示屏与电池又来自日本……如果你坚决抵制日货,可能也不得不同时抵制美国货、欧洲货。

钓鱼岛是中国的!日本政府“购岛”,可笑、无耻!于是,各地都有不少民众以“抵制日货”来表达对日本政府的愤怒和抗议,彰显爱国精神。

有人说:中国是日本最大出口国,只要中国人都不买日货,我们就可以拖垮岛国经济。这可行吗?

从地理大发现到二战后,国际产业分工一直处在“产业间分工”状态,各国通过资源禀赋、技术优势甚至消费偏好的差异从国际贸易中获利:意大利卖服装,英国卖钢铁,紱国卖机械……如果紱国不买意大利的服装,也可以考虑英国――纺织也是英国的优势产业之一,抵制意货不会妨碍紱国人的生活和产业发展。

“全球化”让世界变“平”,国与国之间的“产业间分工”向“产业内分工”转换。紱国、日本生产汽车,中国也可以生产,只不过产品更多面向中低端消费者。如果在此状态下抵制日货,至多意味着放弃使用高端产品,消费者在民族产业中还有选择。

但与“产业内分工”割裂不开的,是“产品内分工”。“美国的波音飞机由全世界组装”,成为解释“全球化”的最通俗案例。中国和日本的产业,也在这一格局下连接得越来越紧密,你中有我,我中有你。

丰田、本田的在华合资企业,日方占股不足50%;NEC最大的股东是联想,资生堂、索尼、东芝有个共同的股东――中投集团;青岛啤酒第二大股东是朝日啤酒……按占股比例,可以判断它们是日资公司还是中国企业。但如何将另外一部分“基因”清晰地剥离?

有人说,“世界上根本没有日货”,听上去有些绝对,但不无道理。如果将上述企业作为抵制对象,日本经济或许会受到一定程度的冲击,但中方企业的利润、中国政府的税收、中国公民的就业也在同步减少。

虽然日本经济在上世纪90年代“失去的十年”尚未找回,其抗打击能力弱于日渐强壮的中国经济,但“杀敌一千,自损八百”,代价有点惨重。

同时,中国和日本又都联系着整个世界:苹果是美国品牌,但大量产品在中国生产,iPone、iPad的显示屏与电池又来自日本……做个坚定的抵制日货者,可能同时也不得不抵制美国货、欧洲货。

全球化不仅让日货渗透我们生活的每一个毛孔,也把“中国制造”铺向世界的每个角落。美国人、欧洲人也曾试图抵制中国货。然而,都以失败告终。七年前,美国女记者萨拉·邦焦尔尼曾在抵制中国制造一年后写就一本书:《没有“中国制造”的一年:一个家庭在全球化经济中的生活历险》,感叹:“你会意识到生活中巨大的不便。我们确实受益于中国的商品。”

同理,技术、品质向来在全世界口碑颇佳的日本产品,也自有其庞大的需求。抵制日货,当参考《人民日报》官方微博提出的几点建议:将抵制作为自己消费时的选择,不强求别人;不对同胞已购买日货动手,那是血汗钱,事实上已经是国人财产;理解对日货中暂难替代商品的购买,这是我们目前发展的需要;爱国心转化为立志行,从自己做起,振兴中华。

而爱国,比“抵制”更理智的选择是,对工作比日本人更敬业,对技术比日本人更求精,对管理比日本人更严格,制造出超越日货的国货,从技术到品质、到品牌,让“中国制造”一步步走上价值链上游,中国人仅从性能、功用出发,就可以洒脱地告别日货,而不再陷入理智与情感的纠结。

引用元:http://finance.people.com.cn/n/2012/0925/c1004-19097556.html


記事の中身自体は、とてもざっくり言うと、

おまいら、確かに日本が尖閣諸島を購入なんて笑える話だけどさ、こんなグローバル化した世界で「日本製品」なんて観念するの無理だからよ、排斥なんてやめとけよ!中国は日本の最大の顧客だから、日本製品買わなきゃダメージ与えられるって一見それっぽいけどさ、たとえばアップル製品はアメリカのものだけど、その部品は日本製もあるわけだから、区別とか無理だから!NECの最大の株主はレノボだし、資生堂ソニー東芝には中投集団っていう共通の株主もいるわけだから!青島ビールの株主はアサヒビールなんだぜ?ほら区別なんて無理なんだよ!そんな状態で日本製品排斥なんてやったら中国だってダメージ受けるんだし。日本製品はおまいらの生活の隅々まで行きわたってるんだから。もちろん、俺ら中国製品だって世界の隅々まで行きわたってるんだけどな。おまいら、真に国を愛するなら、日本人の勤勉さや製品のクオリティを超えればいいんだよ。そしたら、日本製品なんて排斥できるんだからさ!

とまあ、なんか残念な要約になりましたが、この記事の意図は、愛国心の暴走を抑え、政府の望む結論に導こうというところにあると思われます。この記事の配信元である人民網は政府系メディアですが、こういった記事が配信されていることからも、一度愛国心とかナショナリズムとかを道具として使い始めると、それをコントロールするには、こういった繊細な配慮が必要ということがよくわかります。実際、中国の愛国心に関わるようなトピックでは、最初に愛国心に挨拶する、或いは、愛国心から自分の持っていきたい結論を導き出すというのが議論の常道であり、そういった記事が随所に見られます。ですから、議論は愛国心の肯定から始まっているのに、結論は真逆ということもよくあります。たとえば、上の記事は、愛国心日本製品の排斥はよくないという論理ですが、愛国心→日本車燃やせ!という論理も見られます。
こういったように、愛国心というのは本当に使い方が難しいものであるということが、この記事だけからでもよくわかります。

また、記事中に登場する政府系メディアのウェイボー(ツイッターみたいなもの)のアカウントも、同様のことを述べています。すなわち、「日本製品排斥は自分が製品を選択する際によってたつべきで、他人に強いてはならない。同胞が買った日本製品は、血と汗を流して得たものであり、実質的には国民の財産であるから、損壊してはならない。日本製品の中には、代替できないものがあることを理解すべきで、これらは目前の発展のために必要なものである。愛国心を自らの志とし、中華を振興すべきだ」と。

他のニュースでは、今日報じられたものでも、車のナンバープレートに「我々の魚釣島を返せ」と貼っていた車が警察に検挙され、警察が「法の範囲内でやれよ」とコメントしたというものがあります*1

結局、愛国心を煽りはするが、それは政府にとってコントロールできるものであるのが望ましく、政府の都合のいい方に働いてほしいというのが、中国政府の意図するところでしょう。まあ、別にこれは中国政府に限らず、日本も含めてどこの政府も望むところでしょうが…
いずれにせよ、我々は、中国政府のそういった性格を理解して対応しなければなりません。そして、国が落ち目になってくると登場する愛国心頼みの傾向をどう評価すべきかといったことも考えなければならないでしょう。

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*1:http://www.fjsen.com/h/2012-09/26/content_9462085.htm。ただ、この記事は、日本車のオーナーが車を守るために貼っていたことを皮肉るのがその主旨かもしれません。