東大法科大学院09年度再現答案等・法律科目3(構成のみ)

※大体の内容です。条文は省略しています。本番の試験では初出についてのみ「憲法○条」といった形で書き加えています。

<こんな感じ>

・所要時間:70分ぎりぎり。構成10分。

・分量(字数):前半(地位確認)が表面と裏面少々、後半(損害賠償請求)が裏面の半分くらい

・得点は86点


1.
・裁判所に対する訴訟でいかなる救済を求められるか→就労させろとの請求または金銭的救済→訴えとしては、労働契約上の地位確認・契約成立が認められない場合、不法行為に基づく損害賠償請求

2.地位確認の訴えは認容されるか
・本問Y社の採用は、人事部長Bの発言を前提とすると、Xの性別を理由として、本来なら採用されてしかるべきXを採用することを拒んだものと思われる。

判例によると、企業には、「法律による特別の制限がない限り」契約締結の自由がある。そして、均等法の募集採用に関する規定は、かかる制限にあたる。したがって、かかる制限の前では契約締結の自由は制約される。よって、Y社の採用拒否は、契約締結の自由により正当化されず、性別による差別として均等法5条に違反する。

・では、均等法上違法であるとして、その効果として、裁判所がXがY社に採用されていたとみなすこと、或いは改めてXY間で労働契約を締結するよう強制することは認められるだろうか。これはすなわち、憲法の規定する平等原則原理(憲法14条)の実現を具体化するために規定された均等法は、その効力としてどこまでの介入を私人間における関係に及ぼそうとしているかの解釈問題である。つまり、同法はその効果を明確には規定しておらず、憲法論を踏まえつつ、どこまでの介入を認めるものであるかと解釈しなければならない。

・まず、介入の性質についてであるが、いずれの形であれ、裁判所、すなわち国家機関が企業に契約締結を強制することは、契約自由(経済活動の自由・憲法22条)への強力な介入になる。そして、性別による差別の禁止と、差別された者の採用を強制することとの間には、意思決定に条件を課すのみなのか、或いは意思決定自体を国家が代わって為すかという点で差がある。では、憲法及びその具体化である均等法は後者についてまで許容するものであろうか。

・均等法5条の趣旨:1985年当時の同法7条が女性の男性に対する差別を禁止しているのに対し、現行法は男女問わず性別による差別を禁止している。このことから考えると、前者においては女性に対する差別を積極的に是正する措置を取ることも認められたかもしれないが、後者においてはそのような措置を取ることは認められないと考える。したがって、国家が積極的に平等を推し進めるべく、女性の積極的登用を働きかけるべきとの根拠は同法上は認めがたい。

・更に、上の区別を前提に考えると、企業が誰を採用するかと言うのは、特に管理職候補についてそうだが、将来的に企業を支える人材を獲得すると言うことを意味し、企業が将来の企業像を見据えた発展をすべく、その自由を認める必要性は高い。そうなると、そのような決定を国家が代わって為すべきとは言えないし、不当な差別を防止し、その一方で企業の発展の自由を尊重するには、採用の条件として不当な差別の禁止をするのが最適であろう。

・具体的に考えても、女性枠の存在は違法だとして、最終面接に残った者のうちから、性別以外の考慮要素に基づき、いずれの者を採用するか決定するのはY社であるべきであって、現実に差別を受けたXを採用するよう国家が強制するのは、企業の採用の自由を過度に侵すのみならず、Xが差別がなかったとして採用されたかどうかを明らかにするのも困難であるから、妥当な解決とは言いがたい。

・よって地位確認は認められず、棄却されるべきである。

3.不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)
・故意過失あり
・法律上保護されるべき利益:人格権
・侵害の違法性:公法上違法だからと言ってただちに不法行為法上の違法性が肯定されるわけではないが、憲法の理念を私法解釈上も及ぼすと、違法と評価すべき
・相当因果関係あり
・損害:精神的損害=慰謝料は肯定できる・物理的損害=一年分の生活費等は予見不可能だし無理

以上


<試験中考えたこと>

ここまではぼちぼちか。これでこけなければいけるんじゃないか…公法は割と得意だし…

(ぱっと見で)典型問題じゃなくて考えさせる問題だ!みんなができるような問題ではないからこれはいける!しかし何だこの形式初めて見た…ていうかこれ公法か?

(最初の構成)資料は三菱樹脂と均等法の改正前後か…これは規範は三菱樹脂を使うか叩くかして、改正前後で何が変わったかを考えて、それらをどう使うかだろう。私人間効に飛びついたら死ぬな*1。とりあえず裁判上の救済ってなんだ?行政法上の云々は使わないと言うことだろうから、裁判だとなにができる?給付確認のうち、不法行為に基づく損害賠償請求はいけるだろ。働かせろっていう契約締結強制は何を使えばいいんだ?地位確認か。じゃあこの二つが認められるかという流れで書いていけばいいな。詳しい構成はよくわかんないしだるいからいいや*2

(途中で)ていうかこれ単純に均等法の解釈問題になるんじゃないのか?均等法が言っていないことを憲法上認められるかって考えるしかないよな…しかし、性別による差別是正措置によりどこまで私的自治に介入できるかって難しい…

(最後らへん)あああ間に合わないwww損害賠償適当になってしまったっていうか賠償の範囲ちゃんとかけない…

*1:実際そうでもなかったらしい

*2:ほんとにこの後だらだら書いていったw