中央大ロー二次試験

いわゆる面接です。去年受験した人に色々聞いてみたところ、最初に提出する法曹像の作文についてかならず聞かれるというのと、圧迫だというのは大体間違いないようでした。で、何を聞かれるかは全然読めないので、とりあえず最近のニュースのチェックと、中央の志望理由を作っていきました。
後者については、とりあえず先生がすばらしいというのが本音だったので、聞かれたら恩師の落合先生、講演を聞いたことがある野村修也先生、憲法で大好きな安念先生、内野先生がいらっしゃるからということを言うつもりでした。

さて、集合時間の十五分前に市谷キャンパスに到着。控え室で待つ。集合時間の十五分後に控え室から四人ずつ誘導係に従い、それぞれ別の階へ。各階四人に対し四部屋を使い、二十分刻みでローテーションを組んでいる模様。そして、部屋の前の椅子で待たされ、呼ばれたら入るという仕組み。

隣の受験生が先に入ったので、聞き耳を立てていると、開始一分で早くもブルドッグの事件が登場、そして受験生がコテンパンにやられていたw確かにこれは厳しいかもなと思いつつ、日頃緊張を意識しない自分も気分が高まってくる。考えてみたら今日起きてからまともに人と喋ってないなと思い、口をやわらかくするためとりあえず某ラップを口ずさむw

入室後、試験官の先生はお二人、それに対して自分が一人。

質問内容は最初は作文のないようについていくつか。自分は「調整役としての法曹」を前面に押し出す裁判官を意識した作文を書いていたので、それに関連して「和解と判決だと和解を多用すべきということになりますかね?」との質問。これはおそらくひっかけだろうと思い*1、「具体的な事案により異なると思います。つまり、継続的契約であれば、判決より和解の方が妥当でしょうが、そうでない場合は判決の方が妥当でしょう」みたいなことを答えた。

以下簡単に対話式で。
試験官「M&Aとはどういうことですか」
「株式公開買付けなどを利用した企業買収です。」

「最近だとどのような事件がありますか」
スティールパートナーズブルドッグソース事件があります」

「どのような事件でしたか」
「スティール関係者に対してのみ新株予約権を付与しないという条件を付けた新株予約権の発行です」

最高裁はどのような判断をしましたか」
「スティール側の敗訴でした」

「その主旨は」
「必要性・相当性があればよいとし、必要性は株主総会決議を尊重・相当性は対価が保障されていればよいとしました」

「ではあなたが最高裁に反対の論陣を張るとしたらどうしますか」
(10秒ほど沈黙)
「まずは、取締役会の経営者達につき客観的に利益相反の疑いがあるということが一つです。次に、スティール以外の株主については不利益がないのにその同意を得ても意味がないというのが本質的な問題だと思います」(後半はもっとしどろもどろだったので伝わったかどうか微妙…)

話が変わり
「父が日本人、母がフィリピン人の子供がパスポートが取得できないという事件は知っていますか」
(ネットニュースレベルでしか知らなかったので焦るが)
「概要は知っています」

「ではどのような問題ですか」
「不勉強なので詳しくはわからないのですが、父親が認知をしていないため、子供が日本国籍を取得できないといった問題だったと思います」

話が変わり
代理母というのを知っていますか」
(ニュースのチェックも甘く、あまり考えたことがなかったので多少焦る)
「子供を望む夫婦が、自分達の精子卵子を受精させ、第三者に産んでもらうことです」

「それについて、代理母から生まれた子供を、子供を望む夫婦の実子とするべきかどうかについてどう思いますか」
(10秒沈黙)
「難しい問題ですが、やはり生んだ女性が母親だとするのは、基準が明確で、子供を扶養する人間が誰かわかるという意味でも子供の保護に資すると思います。一方で、代理母を認めると、一体誰が親なのかがわかりにくくなってしまうという意味で、子供の取り合い・押し付け合いが起きるのではないかと思います。とはいえ、自分の子供にしたいという願望も理解は出来ますので、最終的には立法の問題なのかなと考えます」

「では事例を変えて、精子卵子もその夫婦と異なる他人のものだとしたらどうですか」
(10秒沈黙)
「それならば、やはり先ほど述べた基準の明確性に対して、そのような期待を保護する必要があるのかといわれると疑問です。そういった場合でしたら養子の制度もあることですし…」

話が変わり
「子供を産む権利というのはありますか」
「あります」

「それは請求権ですか、防御権ですか」
「防御権だと思います」

「では、精神疾患などのない健康な子供を産む権利はありますか」
(20秒沈黙)
「難しいですね…倫理的には認めるべきではないと思うのですが、現行法上は認めざるを得ないのかなと思います。胎児には権利能力がないですし…」

「それでは胎児には人間の尊厳がないのでしょうか」
(10秒沈黙)
憲法の根本的な思想から認めることは出来るのかもしれませんが、現行法上はやはりないといわざるを得ないのかなと思います」


以上で終了でした。
鬼ですね。法律論(?)の嵐で志望動機なんて一言も聞かれませんでした。
とりあえず、ブルドッグの話とか、自分はゼミで発表までしていたのでよかったものの、判例の批判なんて普通出来ないですよね…自分の批判は金融法務事情か何かにあった藤田先生のコピペですし。
また、それ以降の問題もなかなかえぐい問題でした。特に、胎児の話は、堕胎罪が処罰されるということを考えずに論じてしまったので多少不安です。とはいえ西田説は自己傷害的要素があるってしてたように思うので、おそらく胎児は人間ではないというのは前提としていいはずです、ていうか民法なら明文あるしね。

まあとりあえず重要判例はチェックしておくべきでしょうね。選挙の違憲判決なら読んでたんですが、国籍法のやつは親族関係だったので手薄でした。
とはいいながらも、なんだかんだいって学者の方と議論、ではなくともお話できるのは楽しかったです。めっちゃ疲れて、終わった後なんか足の付け根がかゆいなと思ってみたらじんましんが出てましたがねw
28998

*1:従来裁判官は判決を重視し、和解を軽視していただとか何とかあったし