刑法の教材

分類…1は基本的な体系・知識をつけるための教科書、2は更に細かい学説を知るための基本書、3は演習用教材、4はその他

評価…★★★は是非買うべき一冊、★★はお好みで、★はあまりお勧めできないもの

頻度…自分が読んだ回数です。この数字が低いのは当てにならないということですw

・自分の場合
西田刑法をひたすら読みまくりました。それに加えて演習をやっただけです。刑法は総論各論含めて理解すればするほど色んなところがリンクしてくるものですので、自分がとる説の整合性を採るためにも、一人の先生の説を徹底してインプットするのがいいかと思います。なお、行為無価値だ結果無価値だ言いますが、あれは(試験対策という点からは)割とどうでもいい話ですので気にしなくていいと思います。


刑法総論 (法律学講座双書)

刑法総論 (法律学講座双書)

分類:2
評価:★★★
頻度:10?
説明不要。読めば読むほど味が出るとでも言うべきいい教科書です。
山口刑法と比べれば、説明が若干ゆるめで、さらっと読めるけれども、しっかり理解するには最低三回は読まなければならないと思います。なお、共犯のところは若干分かりにくいように思いますので、下記の佐伯先生の連載を参照するとよいかと思います。


法律学講座双書 刑法各論 第3版

法律学講座双書 刑法各論 第3版

分類:2
評価:★★★
頻度:5?
西田先生の教科書は、自分の周りにおいては各論の方が評判がいいようです。それはともかく、これもかなり読みやすいいいテキストです。各論は割と暗記すべきところが多いので、ノートを作ってつぶしました。


法学教室338 (2008年11月)

法学教室338 (2008年11月)

(佐伯仁志連載・「刑法総論の楽しみ方」(04年4月号〜))
分類:2
評価:★★★
頻度:2
驚異的な分かりやすさを誇る総論の解説です。特に共犯の箇所は神がかっておりまして、自分はこの連載で共犯の基礎を理解したように思います。補助的に使ってもよし、或いは通読してもよしといったところですが、佐伯先生はまだ教科書を書かれていないので、各論は他の先生のを使うことになります。


法学教室338 (2008年11月)

法学教室338 (2008年11月)

西田典之監修・小林憲太郎・島田聡一郎解説・「事例で学ぶ刑法」(06年4月号〜))
分類:3
評価:★★★
頻度:1
刑法の演習問題です。難易度は割と高いので、刑法をひとたび通してから手をつけて丁度いいくらいかと思います。しかし、解説がわかりやすいので(特に島田先生)、少々わからなくてもなんとかなります。


刑法概説 総論 第4版

刑法概説 総論 第4版

分類:2
評価:★★★
頻度:2
行為無価値の大家である大塚先生の大変読みやすい基本書です。また、総論はつい最近出たばかりですので、新しい説にも対応しているものと思われます*1。通説といわれる團藤説の流れを割と忠実に引き継がれた学説です。関係としては民訴の新堂先生と高橋先生のようなイメージでしょうか。大塚先生の学説は、山口先生がおっしゃるところの「理論刑法」と一部異なる*2所があるかもしれませんが、責任主義に忠実で、個人的には大好きです。また、結果無価値に対する批判を見ると、結果無価値の不都合性や弱点が分かり、さらに違法性に関する理解を深められます。
ただし、今から行為無価値だというのであれば、おそらく井田先生の説を取るのがいいかとは思います。

*1:ただし自分が読んだのは一つ前の版です

*2:たとえば、「原因において自由な行為」の実行着手時期は、原因行為着手時として、反対説の批判(原因行為を始めただけでは危険が発生しているとは言いがたく、未遂になるのが早すぎる)に対し、「原因行為着手だけでは通常犯罪が明らかにならないから、実際上不都合がなく問題ない」とされています。